RAW・JPEGとは?スマホから検討する人向けに、写真の保存形式と画質を整理

カメラ基礎知識

カメラの設定を見ていると、「画質」の項目に RAWJPEG という保存形式が出てきます。スマホで撮ってきた方の多くは JPEG(や iPhone の HEIC)で保存されているので、RAW はなじみがないかもしれません。

この記事では、ツギカメ編集部が各社の公開情報を整理して、RAW と JPEG を 「何が違うのか」「画質と編集の自由度」「初心者はどちらで撮るか」 の3点でやさしくまとめます。特定の製品をすすめることはしません(編集部は実機レビューをしていません)。露出補正(明るさ)や ホワイトバランス(色味)の記事で出てきた「RAWなら後から調整できる」の正体が、ここで分かります。

結論:JPEGは「完成品」、RAWは「現像前の生データ」

先に結論です。RAW と JPEG は、次の3点を押さえれば十分です。

  • ① JPEG=カメラが仕上げた完成品:そのまま見られる・送れる・印刷できる。容量も小さい
  • ② RAW=現像前の生データ:そのままでは使いにくいが、後から明るさ・色を大きく調整できる。容量は大きい
  • ③ 迷ったら、まずはJPEGで十分:編集を楽しみたい・大事な撮影では RAW(または RAW+JPEG 同時記録)

「どちらが上」ではなく、手軽さ(JPEG)と編集の自由度(RAW)のトレードオフだと考えると分かりやすいです。

JPEGとは ─ カメラが仕上げる「完成品」

写真を撮ると、カメラは内部で 「現像」 という処理をしています。センサーが受け取った光の信号に、ホワイトバランス・明るさ・色合い・シャープネスなどを適用し、見られる画像に仕上げる工程です。JPEGは、この仕上げまでをカメラがやって、圧縮して保存した「完成品」 です。

  • メリット:そのまま閲覧・SNS投稿・印刷ができる。容量が小さく、機器を選ばず開ける
  • 注意点:JPEGは 非可逆圧縮(戻せない圧縮)で、撮影時のホワイトバランスや明るさが画像に焼き込まれます。後から大きく編集すると無理が出やすく、編集して上書き保存を繰り返すと劣化が蓄積していきます

スマホの写真も基本はこの仲間(JPEG や、iPhone 標準の HEIC)で、「撮ってそのまま使える」手軽さが持ち味です。

RAWとは ─ 現像前の「生データ」

一方の RAW(ロー)は、センサーが受け取ったほぼ未加工のデータ=「現像前の生データ」 です(各社の公式でもほぼ同じ説明がされています)。フィルムでいう「撮影は済んだが、まだ現像していないネガ」のようなもの、とキヤノンは説明しています。

RAW はカメラ内で仕上げをしていないため、一般的な画像形式より互換性が低く、機器やサービスによってはそのまま扱えません。通常は、パソコンの専用ソフト(対応機種ならカメラ本体の「RAW現像」機能でも可)で「現像」してから、JPEG などに書き出して使います。手間はかかりますが、そのぶん 撮影後にホワイトバランス・明るさ・色を、大きく・自由に調整できる のが最大の利点です。しかも Lightroom や NX Studio、DPP などの主要な現像ソフトは 元のRAWデータを書き換えない(非破壊編集) ため、何度でもやり直せます。

最大の違いは「階調(ビット深度)」=後から動かせる余地

RAW がなぜ「後から大きく調整できる」のか。その理由が 階調(ビット深度) です。

RAWは記録できる情報量(階調)がJPEGより桁違いに多いため、後からの調整に強くなります。JPEGは 各色(赤・緑・青)が8bit(約256段階) で記録するのに対し、RAWは 各色が12〜14bit(約4,096〜16,384段階・機種により異なり、中判など一部の高性能機では16bitも) の細かさで記録します。1色あたりの段階数がこれだけ違うため、後からの調整に使える余力が大きく変わります。だから、JPEGより広い範囲で白飛び・黒つぶれを救済しやすく、ホワイトバランスを撮影後に大きく変えるような調整にも強いのです(ただし、情報が完全に失われた白飛びは元には戻せません)。JPEGは共有しやすいように整理・圧縮された「完成品」なので、同じことをすると無理が出やすい――これが「RAWなら後から調整できる」の正体です。

ビット深度のちがいを整理すると、次のようになります。

形式 階調(ビット深度) 性格 そのまま使える?
JPEG 8bit(各色) 完成品・軽い・汎用 ◎ そのまま使える
HEIF/HEIC 10bit記録に対応する機種あり JPEGより高階調・高圧縮の新形式 ○(対応環境が必要)
RAW 12〜14bit(各色・機種により・一部16bit) 生データ・編集に強い・重い × 現像が必要

明るさの調整(露出補正)や色味の調整(ホワイトバランス)を「後からやり直したい」場面で、この階調の余裕が効いてきます。

RAWのファイル形式と現像ソフト ─ 各社で違う

RAW の多くは、JPEG のような共通の拡張子ではなく メーカーごとの独自形式 です(後述の Adobe DNG のような共通形式もあります)。現像も、各社が無料で配る純正ソフトか、Adobe Lightroom などの汎用ソフトで行います。

メーカー RAWの拡張子(現行) 純正の現像ソフト(無料)
キヤノン CR3(旧機種は CR2) Digital Photo Professional(DPP)
ニコン NEF NX Studio
ソニー ARW Imaging Edge Desktop
富士フイルム RAF FUJIFILM X RAW STUDIO
パナソニック RW2 SILKYPIX系(同梱・機種や時期により異なる)
OM SYSTEM ORF OM Workspace

上の純正ソフトはいずれも無料です(パナソニック・OM SYSTEM など他社にも純正/同梱の現像ソフトがあり、各社公式で確認できます)。これらに加え、各メーカーのRAWは Adobe Lightroom/Camera Raw などの汎用ソフトでも現像できます。メーカー独自形式だと将来開けなくなる不安もあるため、各社RAWを共通形式に変換できる Adobe DNG(汎用RAW)という選択肢もあります。現像ソフトの名前は世代で変わる(ニコンは旧ソフトを統合して現在は NX Studio)ので、購入時は使っている機種の最新の純正ソフトを確認すると安心です。

RAW+JPEG 同時記録という選択/HEIF という新顔

多くのカメラは、1回の撮影で RAW と JPEG を同時に保存 できます。「ふだんの閲覧・共有は JPEG、後で本格的に調整したいときは RAW」と使い分けられて便利です。ただし 2つ分の容量を使う ので、メモリーカードやパソコンの空きには余裕を持たせておきます。

また、最近の一部の機種は HEIF(HEIC) という新しい形式でも記録できます。JPEG(8bit)より高い 10bit の階調を持ちつつ高効率で圧縮できるのが特徴で、iPhone の標準形式(HEIC)と同じ仲間です。対応するカメラは増えていますが、閲覧・共有する環境(ソフトやサービス)の互換性は JPEG ほど万全でない場合があるため、現状は「JPEG と RAW の中間的な選択肢」と捉えておけば十分です。

スマホでもRAWは撮れる

RAW はカメラだけのものではありません。スマホでも、対応機種なら RAW で撮影できます。

  • iPhoneApple ProRAW(iPhone 12 Pro 以降の「Pro」モデルで対応/OSのバージョンなど詳しい条件は Apple 公式を確認・執筆時点)。汎用RAWの DNG 形式で記録します
  • Android:多くのメーカー(Google Pixel・Galaxy・Xperia など)の上位モデルを中心に、汎用RAWの DNG 形式での RAW 記録に対応

普段はスマホも JPEG/HEIC で撮っていますが、「後からしっかり調整したい1枚」では RAW を選べる、という点はカメラと同じ考え方です。スマホからカメラへ進む人にとって、この感覚はそのまま活きます。

初心者はどっちで撮る?

「RAW のほうが画質が良いなら、最初から RAW では?」と思うかもしれませんが、ここは誤解しやすいポイントです。

「RAW=高画質」ではなく、「RAW=後から調整できる自由度が高い」が正確です。RAWは現像してはじめて写真になるため、そのままでは JPEG より地味に見えることもあります(そのかわり、適切に現像すればセンサー本来の階調を引き出せます)。また、RAWでも 手ブレやピンボケそのものを直せるわけではなく(ニコンも公式にそう説明しています)、容量と現像の手間も増えます。だからこそ、まずは JPEG で気軽に撮り、編集を楽しみたくなったり、大事な撮影で失敗を防ぎたくなったら RAW(または RAW+JPEG)を試す――という順番が、初心者には無理がありません。

JPEG が向くのは、SNS や印刷ですぐ使いたいとき・容量を節約したいとき。RAW が向くのは、明るさや色をじっくり追い込みたいとき・逆光や暗所など難しい条件で後から救済したいときです。どちらが上というものではなく、撮りたいものと、かけられる手間で選ぶ ものです。

よくある質問

RAWで撮ると画質が良くなりますか?

「画質が上がる」というより「後から調整できる余地が大きい」が正確です。RAWは現像して仕上げてはじめて写真になり、現像しなければ JPEG よりきれいとは限りません。白飛び・黒つぶれの復元やホワイトバランスの変更に強い、という編集面での強みだと考えてください。

JPEGは撮るたびに劣化しますか?

撮影して1回保存するぶんには問題ありません。ただし JPEG は非可逆圧縮なので、編集して上書き保存することを何度も繰り返すと 少しずつ劣化していきます。何度も編集する可能性があるなら、RAW で撮るか、編集時は別名で保存すると安心です。

RAWはそのままSNSに上げられますか?

そのままでは使えません。RAW はパソコンやアプリで 現像してから JPEG などに書き出す 必要があります。手軽に共有したい写真は JPEG、後で調整したい写真は RAW、と分けるのが現実的です。

ノイズが気になります。RAWなら消せますか?

RAW は現像時にノイズ低減を細かく調整できますが、暗所で増えるノイズそのものは ISO感度 の設定に左右されます。RAWはあくまで「調整の幅が広い」もので、撮影時の設定が良いに越したことはありません。

まとめ ─ 「JPEGは完成品、RAWは調整の余地」

RAW・JPEG は、次の3点に整理できます。

  • JPEG=カメラが仕上げた完成品(軽い・そのまま使える・撮影時の設定が焼き込まれる)
  • RAW=現像前の生データ(重い・現像が必要・12〜14bitの階調で後からの調整に強い)
  • 迷ったら、まずは JPEG。編集を楽しみたい・大事な撮影では RAW か RAW+JPEG

「RAW=高画質」ではなく「RAW=後から動かせる自由度」と捉えるのがコツです。明るさの調整は 露出補正とは?、色味の調整は ホワイトバランスとは?、カメラ用語の全体像は カメラ用語の基本5つ、カメラ選びの考え方は はじめてのカメラ、何から考える? も合わせてどうぞ。

文責:ツギカメ編集部 トギ